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2005.10.23

日朝国交正常化の陰で。

「そっちから頭を下げてこなければ、国交など回復できるものか」と強硬な朝鮮。「そんな屈辱的なことができるか馬鹿野郎」という日本政府。どうしてもこの仲を取りもちたかった外交担当者は文書の偽造に手を染める……。

という事件が、江戸時代のはじめごろにあったのだそうだ。対馬藩による国書偽造事件。新井白石に興味をもって朝鮮通信使を調べているうち人づてにこの事件を知り、興味をもちはじめたところ。面白いぞ、好奇心の芋づる。

秀吉の朝鮮出兵以降、断絶していた朝鮮との国交。外交の窓口としての役割を果たし、交易が財政を支えていた対馬藩としてはどうしてもこれを回復させたい。朝鮮のほうでも、北からの異民族の侵攻に備えて南の日本とは友好的な関係を持ちたいという願望を持っていた。

しかし秀吉によって屈辱的な打撃をうけて間もない朝鮮としては、「日本国王」からの懇願によって国交を回復させた、ということにしなければおさまらない。が、なにゆえ秀吉の尻拭いのためにこちらから頭を下げねばならないのか。蒙古襲来以来、異民族に対する蔑視観も根付いている。朝鮮国王と日本国将軍とが対等の書簡をやりとりなどできようか。と幕府の態度も硬い。

板挟みとなった対馬藩の宗氏はついに国書の偽造に踏み切った。

まずは「日本国王」名義の書簡を捏造して朝鮮国王宛に送る。頭を下げ、どうか国交を結んでくださいという内容。これに対して朝鮮側からの返事を持った使者が来る。幕府に届けねばならないが、捏造文書に対する「返書」であるから、話のつじつまがあわなくなる。だからこれも、捏造する。返事ではなく朝鮮側からの「友好のお願い」に書き替えた。

念の入ったことに、「日本国王」「朝鮮国王」双方の「印」までわざわざ職人が作ったのだから、本気の程度もしれよう。まあもちろん本気でなければこんなことはできやしない。

本物の返書を持っているのは朝鮮の使節だから、江戸までの道すがら、なんとか偽造したものとすり替えねばならない。なかなかその機会がないままとうとう当日を迎えてしまう。そしてようやく、国書が渡されるその寸前に、すり替えに成功した……!

以上が、田代和生『書き替えられた国書』(中公新書)を読んだ人に教えてもらった話。うろ覚えの聞き書きだから間違ってるところもあるかもしれない。ごめんなさい。わたしはまだこの本を見つけていないのだけれど、事件そのものは当時の外交関係について書いた本にもよく出てくるし、ちょっと調べれば詳しく読めるはずだ。

ね、なんだかわくわくする話でしょ。こういうの、歴史の時間に教えてもらってたらもう少し勉強が好きになってたかもしれない。まあ、いまだからこそこうやって興味の枝葉をのばせるのかもしれないけれど。

いまも昔も、人間のやることってあんまり変わらないもんなんだな。
歴史って、面白い。

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受信: 2005.10.26 13:13

コメント

おもしろそう!
検索したら近所の図書館にあるみたいなので、早速借りてきて読もうっと。
先月、朝鮮王朝の改ざん前の文書が発見されたそうですね~。
朝鮮半島と九州のちょうど真ん中にあって、板ばさみになってしまった対馬の気持ち、なんとなく分かるなぁ(笑)
そうそう、今月はホルモンの値が微妙だったのですが、昨日、凍結胚盤胞を戻してきました。1週間後にあっという間の判定が出るそうなので、ぐじゃぐじゃ考える時間が短くて、ちょっとほっとしてます。

投稿 ただこ | 2005.10.24 09:34

●ただこさん
こんにちは。移植、お疲れさまでございました。
これから一週間、豊かなお気持ちでお過ごしになれますように。
ぜひ、おいしく食べて、たくさん笑って、平らかにお過ごしくださいね。
卵さんの無事の着床、心より応援申し上げます。がんばれー!!

> 先月、朝鮮王朝の改ざん前の文書が発見されたそうですね〜。

そうでしたか〜知りませんでした。興味を持ちはじめたいまなら、見落とさずに済んだかなあ。新聞、調べてみます。ありがとうございます。

こんな話、ちょっと映画にでもしたらおもしろそうですよね。
結局何度目かの捏造でばれてしまい、実行犯の鍋島氏に罪をかぶせて、宗氏はおとがめなしとなったとか。こんなところも、現代となにか通じるところがあって興味深いです。

投稿 わさび(ただこさんへ) | 2005.10.24 16:09

お名前様のブログの方で「志土地」さんの話から発展して
新井白石について「異聞・西洋紀聞」という記事を書きました。

その②の記事をまだ書き上げていませんが、
調べる範囲を日欧交流史にまで広げています。
これは近日中に「お名前様」の方に記事として書かせていただきます。

わさびさんのネタの振り方のうまさにつられて
いつもコメントを書いています。

朝鮮と日本の歴史は興味津々です。

東アジアの歴史は俯瞰的にみれば中国が中心で、
その中華思想の同心円上に朝鮮も日本も位置付けられる形に
なっています。

騎馬民族説を持ち出すまでもなく、
日本における陶器の歴史を見るだけで
文化、技術のほぼワンウェーの伝播は一目瞭然です。

中華(世界の中心)をもって任ずる中国にとって、
日本は「東夷」の地域、すなわち「夷」(えびす、えみし)で
あったわけです。

奈良、平安の中央朝廷が東北を(えびす)と呼んだのは
その裏返しですね。いじめられっこが次の犠牲者を
見出したという構図です。

従って聖徳太子の国書は志の高いものでした。

儒教を信奉する朝鮮からも日本は、
いとこ同士が結婚するという悪習に染まった
動物同然の蛮風の国とみなされていました。

わさびさんの書かれているように
江戸時代の日本と朝鮮間の意識ギャップば、
傍からみればコメディ、当事者にはトラジェディという
状況にありました。

従って明治になっての征韓論はこうした延長線上で
考える必要があり、現在のなんとも気まずい日朝中間の
関係もこうした歴史を考慮にいれないと単にファナティックな
感情論に陥る危険があります。

明治の不平等条約の精神を引きずったままの今の日本の外交や
その反動の無思慮な個人的スタンドプレイを止められない民度を
考えると、なかなか解決がつかないことのように思います。

最近こうした歴史を踏まえずして自らを信長にたとえれることを好む
人物がいますが、ここ最近の振る舞いは信長という漬け物石を失い、
自制のまったく効かなくなった晩年のひからびた秀吉でしかありません。
でも権力を握っているので、王様の耳はロバの耳と言う人は大変少ないですね。

400余年前の秀吉の負の遺産がまだ残っているように、この平成の秀吉の
振る舞いはまた後世に多くの悔いを残すことでしょう。

投稿 jincs | 2005.10.25 23:13

『書き替えられた国書』、面白そうなので買おうと思いましたが、
1983年の発行で現在絶版のようです。

検索したら近所の図書館にはあるので借りることにしました。

投稿 jincs | 2005.10.26 23:57

●jincsさん
日欧交流の記事、楽しみにお待ち申し上げます。

わたしのほうは、西洋紀聞もぽつぽつ読んでいますが、シドッチからちょっと離れて日韓交流のほうに興味を持ってしまいました。

白石の改革のひとつに、朝鮮通信使が使う将軍の称号を改めさせたというのがあります。それまで「大君」と呼ばれていたものを、「日本国王」と呼ぶように変えさせました。この背景に、上記の国書偽造・改竄事件や華夷思想なども出てきます。

神功皇后伝説からはじまり、秀吉の朝鮮出兵、明治の征韓論、または現在の嫌韓ブームまでの、日本人の「朝鮮観」をすこしじっくり、しかしちょっと遠巻き加減に、眺めてみようかというところです。

まあ、系統だった勉強というのではなく、興味のある部分をつまみ食い、というお気楽なものです。なんたって、真っ先に図書館で借りてきたのは『国書偽造』というタイトルの、時代サスペンスみたいな小説です。とっかかりには、面白そうじゃありませんか。

日本がどうしていつごろから華夷思想の世界から外れたのか、そのあたりからまず知りたいと思っています。

しかし、ほんとうにjincsさんはどんな話題でもお詳しくていらっしゃる。いえ、たぶんこの記事にもコメントをいただけるだろうなと予想はしていたのですが、あらためて、びっくりです。どうか今後ともよろしくお導きくださいますように。

ありがとうございました。

投稿 わさび(jincsさんへ) | 2005.10.27 00:04

●jincsさん
どうもこの時間、ココログは激重でたまりませんね。ごめんなさい。
前のお返事を書いてるうちに、新しいコメントいただいてました。

そうなんです、品切れで。わたしは、古本屋歩きの目的がまたひとつ増えたと思って楽しみに探しているところです。

投稿 わさび(jincsさんへ2) | 2005.10.27 00:11

NHKの捏造ここに極まる。
田代和生が最初から最後まで挙動不審者のごとく目をキョロキョロと動かし続けていたことからも、大嘘を吐き通した証拠である。
当時から日本は厳格な法治国家であった。
日本の藩主が印鑑を捏造したりすれば藩取り潰しの処罰を受ける。150年以上も公文書捏造を続け、捏造発覚後も更に公文書捏造を続け、全く何の処罰も受けないなど朝鮮人の妄想の世界の中でしか起きない。

朝鮮は明の植民地の中で琉球よりも遥かに低い最低の地位にあった。例えば、
1.琉球王の使節は明の宮殿に籠で入ることができたが、朝鮮王の使節は徒歩でしか宮殿に入れなかった。
2.明の皇帝に、琉球王は王服に3つの龍をつけることを許可されたが、朝鮮王には1つしか許可しなかった。
3.明の皇帝から日本へ送られたのは金印、琉球に送られたのは鉄印、朝鮮に送られたのは泥印であった。

大国日本の対馬藩が明の臣下の中で虫けら並みの地位にあった朝鮮に対して臣下の礼をとるなど笑止千万。

有史以来朝鮮は中国大陸を支配した国や日本の植民地であった。1世紀にはすでに新羅は日本の植民地になっている。朝鮮が史上初めて独立できたのは日清戦争で日本が清を撃破した後の1895年の下関条約第1条においてである。

番組の中で松平アナウンサーが朝鮮は明を宗主国として仰いでいた、とナレーションしていた。つまり朝鮮は明の植民地であった。植民地に外交権などあるはずも無く、この時点において、NHKの捏造は明白に露呈している。

投稿 | 2008.07.11 22:02

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